2013年~2015年にかけて3度にわたり、平均6.5%、最大10%の生活保護基準切り下げに対して全国で約1000人が原告となり、この切り下げは憲法違反であるとして処分の取り消しと国家賠償を求めた裁判(全国29地裁)で、2月22日、大阪地裁は「切り下げ処分の取り消し」を命じるという、歴史的な勝訴判決を言い渡しました。その判決の内容を簡単に言いますと、①物価が4.78%も下落したというが、2005年から生活保護基準は改定されていないにもかかわらず、その統計の起点としたのは穀物価格や原油価格の高騰により物価が急騰した2008年としていること。②物価統計は一般的に総務省の消費者物価指数を採用するが、厚労省は独自に「生活扶助相当CPI」という物価指数を作り、その物価品目には生活保護世帯とは殆ど関係のない教養娯楽耐久財(テレビ・パソコン等)が含まれ物価下落が増幅されている。この①②は統計等の客観的数値や専門的知見との整合性を欠き、厚労大臣の判断過程に過誤・欠落があり、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるから、生活保護法3条、8条2項の規定に違反し、違法である。よって処分の取り消しを命じるというものです。
2020年6月25日、全国で最初の判決が名古屋地裁でありましたが、その内容は「いろいろ問題はあるが、厚労大臣の裁量権の範囲である」、「自民党の政策は国民感情を反映している」とまで言い切ったひどいものでした。この「司法の独立を放棄」した判決に、全国の原告・支援者のみならず、法曹界や学者・知識人から「司法の独立を守れ」、「裁判所は公正な判断を」の大きな抗議運動がおこりました。こうした抗議の声の高まりが今回の勝訴判決につながったと考えます。この3月29日には3番目の判決が札幌地裁で言い渡されます。皆さんの引き続く大きなご支援をお願いします。
生活保護基準について国を断罪した1985年10月19日の朝日訴訟東京地裁判決以来の歴史的勝訴判決です。この東京地裁判決は①最低限度の生活水準を判定するについて他の最低所得層の生活水準をもって「健康で文化的な生活水準」に当たると解してはならない。②最低限度の水準は決して国の予算の有無によって決定されるものではなく、むしろこれを指導支配すべきである。③「健康で文化的な生活水準」は国民の何人にも全的に保障されねばならない・・と判示しました。その後の生活保護基準は大きく前進しました。
神奈川県生活と健康を守る会連合会 044-245-8828 mail@k-seikenkai.net
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